外ズラだけ気にする昭和世代の量産プロセス

昭和生まれの世代は、高度成長を担った親に育てられた世代である。高度成長期は古くから続く家父長制と女性の社会進出に足枷することで維持できた男性権威の末期時代である。この男性優位な権威は、社会的最小単位の家庭だけに留まらず、広く社会に適用されていた時代でもあった。昭和生まれの世代は、まさにその文化の中で成長してきた最後の世代である。この家父長制の中では、父親のいうことは絶対的な正義であり、社会における上位者の男性のいうことも絶対的正義であった。つまり、男の理不尽な言い分が問答無用で通った時代である。加えて、欧米の宗教のような絶対神との対話で自らを律する規範が身の内に育まれ難い日本では、帝国主義的な統制をしく全体主義的教育の弊害で、他者の目がある場合に限ってのみお行儀良くするという、外ズラだけは良いという気質が育まれた。絶対神の監視から免れた代わりに、人の目には異常なほど注意を払い、他者との比較を自己評価の基準とし、それで得られた優越感をプライドと解した愚か者が量産されるにいたった。